大きくなってからも、「ボクの部屋」を主張するようなことはなかったし、何しろ毎年確実に大掃除ができたのである。さらに、それまで弟は壁に落書きをしたり、シールを貼ったりすることがあったのだが、「部屋替え」をするようになるとぴたりと収まった。自分も、来年住む部屋に落書きがあったり、好みじゃないシールが貼ってあったらいやだから、お互いに遠慮するようになったというわけ。そのうえ、一見平等に見える部屋だったが、日当たりの面で少し優劣があった。それを平等にしてやれたのはよかったと思う。現在は、のちに生まれた長女の八寿花が、この一方の部屋を使っている。長女が嫁にいったら、いよいよ壁をぶち抜いて、夫婦の寝室をこっちに移してもいいかも知れない。現在の寝室より広くなるし、グッと、新鮮な気分になると思う。長男は現在、私の仕事部屋としてつくってあった半地下の部屋に居候中である。その部屋には、私の机だの製図板だのパソコンだのが置きっぱなし。幸い、彼も建築家として修業中の身だから、道具もそっくりそのまま貸し出し中というわけ。早く独立して、「俺の部屋」返してくれ。